【北欧神話】北欧神話についての本!これを読めばマニアになれる!
最初に残念なお知らせですが、北欧神話についての本って少ないです!
特に、知識ゼロの人が「分かりやすい本ってないかなあ」と探しても、ほぼ見つからないです。悲しいことに需要がないんですね……。北欧神話って面白いのに……。
ですが、死ぬ気で探せば少しは見つかります!ここでは神話狂いのわたしが、20年の年月をかけて(ここからわたしの歳を逆算しないように)探し出したレア本の数々をご紹介します。
子供向け、初心者向け、物好き向け、マニアの変態向けに難易度を分けて紹介するので、必ず自分に合った本が見つかりますよ!
北欧神話の知識ゼロ、ここから始めたい!初心者向けの本
「ゲームや漫画でトールやロキが好きになった」「神々の名前は知ってるけれど、神話ではどんな神なのかな?ちょっと知りたい」「そんなに詳しく知りたいわけじゃなくて、知りたいところだけピンポイントで読みたいんだよね」
こういう条件が当てはまる人は、ここから探してください!広く浅く分かりますよ。
図解北欧神話
図解北欧神話の一押しポイント!
これは分かりやすいですよ!
言わば北欧神話の図鑑です。イラスト付きで一つ一つ簡単な説明がついています。
・北欧神話の地図(ユグドラシルの木)
・ゆる~くあらすじ
・登場人物の説明(性格とか持ち物とか)
・神話に出てくる気になるアイテム・動物の説明(これがうれしいです!神話にはよく意味不明のアイテムが出てくるので、「フリズスキャルヴってなんだっけ……」っていうときすぐに調べられますからね)
・北欧についての雑学(ヴァイキングの服装、食べ物、住居などについて)
よくできた図鑑ですよ。説明も短くまとめてありますし、あと相関図がたくさん書いてあるのもうれしいポイントです。物語を読んでいると、よく人間関係が分からなくなってしまいます。細かいことはすっとばした簡単な相関図が乗っているので、参考にしてくださいね。
1つ難を言うとすれば、「イラストがダサい」ってことでしょうか。特にロキがトホホなんですよ。でもあくまで辞書だと思えば、これくらいはしょうがないですね。絵は他にそろえればいいですし。
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一番わかりやすい北欧神話
一番わかりやすい北欧神話の一押しポイント!
この本のうれしいポイントは、巻頭折込の「神々と巨人の相関図」「ユグドラシルのの地図」ですね。一目で人物関係と地理が分かるように書いてあります!よくできてますよ。この二つを手に入れるために買うのもありです。
・北欧神話の成り立ちをゆる~く説明
・世界観を図解で分かりやすく説明
・あらすじ(大きな事件を10にまとめてあります)
・登場人物(プロフィールが結構詳しく書いてあります)
・神々の事件簿(おもしろいですよ。オーディンやフレイヤのやらかした事件の数々が、雑誌の記事みたいにまとめてあります。ゆる~く知りたい方はおすすめ!真面目な方は怒るかな?)
・気になるあのアイテム(これはちょっと物足りないですね。ほんとにさらっと書いてあります)
この本はイラストが凝ってます。ゲーム好きの人にはおすすめですね。今どきのシャープな絵です。「神話を知りたいけど、むか~しの絵画だと肩がこっちゃうんだよね」という人はこの絵で満足だと思います。ヴァルキューレがカッコいいんですよ!羽付きのあの帽子がたまらないですね。
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北欧神話を少し詳しく知りたい!図鑑じゃ物足りない物好き向けの本!
初心者脱出。「図鑑で基礎知識だけ拾って読むんじゃなくて、ちゃんと物語で読みたい!」「物語で読みたいけど、原作を読む勇気はないな……」「基礎知識があまりなくても、分かりやすく物語で読めないかな」という人はこちら!
北欧神話物語
北欧神話物語の一押しポイント!
実は私が、はじめて読んだ本はこれなんですよ。(マンガは除く)
いや~雰囲気がいいですよ。古典の風格をたもちつつ、読みやすい文章。ためしに一部だけ抜粋
「夜はほとんど明けていました。東の空は緑色と灰色に見え、雪はアースガルドのまわりに幻のように静かに降っていました。
ロキが、そうロキだけが、セスルームニルから出て行くフレイヤを見ていたのです。」
こんな感じで、すべて語り口調で書いてあります。まるで北欧の巫女が昔話を自分に語ってくれているようです。
全ての物語は「リーグの歌」「グリームニルの歌」というように「〇〇の歌」でまとめてあります。もともと北欧神話が叙事詩だからですね。これもまたうれしいポイント。歌のリズムもしっかりと感じさせますよ。
・ヴァイキングの説明(どんな民族だったか、写真付き)
・物語(天地創造からラグナロクまで)
・一つずつの歌をちょっと掘り下げて説明
こんな感じでまとめてあります。
1つ注意しなければならないのは、この本は「神々のお話」にしぼって書いてある本で、人間たち(ジークフリートやクリームヒルトなど)のお話は載ってないということです。でも、神々のお話がこれほどよくまとまっていて、読みやすい本はなかなかないです。
ところどころに描いてある、壁画っぽい絵もかなりおしゃれ。
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子供に読ませたい北欧神話の本!入門編にもおすすめ!
案外見つからないのが、「子供のための神話の本」ですよね。わたしも子供がいるのでずいぶん探したものです。そして4年かけてついに発掘!
子どもに読ませたいから、神話にちょくちょく出てくるエロい部分は省いておきたい。(う~ん、ちょくちょくどころじゃないですよね)きったない表現も避けたいところ。ここではそんな心配の全然ない、上品な本を紹介します!大人だけど、子供向けの本を神話入門編に読みたい方にもおすすめ!子供向けとはいえ、かなり読ませますよ!
岩波少年文庫 北欧神話
一押しポイント!
何かと頼りになるのはやっぱり岩波!
子供向けとは言え、かなり読みごたえがあります。物語の一つ一つを皮肉たっぷりに、悲哀に満ちて書いてあるところがいいですね。最近の児童図書みたいにただ明るく希望に満ちて、という風ではありません。神話に欠かせないロマンと悲しみをしっかりとおさえてあります。
わたしはこの本の中で、フレイヤの娘フノッサとヘイムダルの話が好きですね。小さいフノッサはヘイムダルの横に座っているのが好きで、世の始まりから生きているヘイムダルは、フノッサに世の始まりの物語を一つ一つ語ってやるのです。こんなかなりマイナーな話が載っているのも、この本のおすすめポイントです。
そして!何よりすごいのは、この短さの中に北欧神話をほぼすべて網羅しているという点です!ヴァルキューレが岩の上に眠らされる話など、神話の大筋からちょっと外れた話まできちんと書かれています!絵もペン画で素敵ですよ。
難を言うと……、名前の表記が古臭いです。「オージン」「ローキ」「バルズル」って……いつの時代の本だよって感じですね。まあ、それはそれで味がありますけど。
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はじめての北欧神話
はじめての北欧神話の一押しポイント!
岩波少年文庫は高学年にならないと難しいですが、こちらは低学年でも読めます。ハードカバーの美しい本ですが、かなり薄くコンパクトです。
・世界のはじまり
・<神の国>のかべづくり
・イズンのリンゴ
・スカジの夫えらび
など、面白い話だけをピックアップして、天地創造からラグナロクまでをさらっとまとめてあります。でもしっかりと教訓と悲壮感を感じさせるところが、この本の素晴らしいところですね。
この本では、子どもが読みやすいように「アースガルド」「ミョルニル」「ドラウプニル」などの分かりにくい名前は「神の国」「ハンマー」「うでわ」と簡単な表現になっています。この本で神話に親しんだ子供が、高学年になったら岩波少年文庫を読めばかなり通になれますよ。
ぜひお子さんへのプレゼントに!
北欧神話マニアのために!自分が変態だと自覚している人のための本!
ついに来た!わたしと同類の人たちのためのコーナー!
このコーナーをチェックするのは相当のつわものですね。とことんコアな本ばっかりですよ?中古しかないものもたくさんあるので、そこはご勘弁を。では始めましょう!
エッダ――古代北欧神話集
北欧神話を詳しく知りたい!古典の雰囲気そのままを味わいたい!という方は、この本を避けては通れませんよ!
エッダをそのまま訳した本は、わたしの知る限りこの本以外他にないです。やや難解ですが、名訳ですよ~。では、エッダのもっとも有名な歌「巫女の予言」の冒頭をどうぞ!
「すべての尊い氏族(やから)、身分の高下を問わず、ヘイムダルの子らに、よく聴いてもらいたい。戦士の父(ヴァルファズル)よ、あなたは、わたしに、思い出せる限り古い昔の話を、見事語ってみせよと、望んでおられる」
しびれますね。今、まさに歳も分からない巫女が目の前にいて、低い声で自分に語り掛けているように感じませんか……!
雰囲気はいいのですが、ぶっちゃけこの本はよ~く神話の内容を覚えて、そのうえで読むことをおすすめしますよ。「ヴァルファズル」はオーディンの別名です。この冒頭の数行だって、このことを知らなければよく分かりませんよね。
一応、神々の別名や地名や血縁関係は、その歌ごとに全部注釈があるのですが、いちいちそんな説明を読みながら読んでいたら百年かかったって読み切れないです。基礎知識を全部頭に入れてからでなければ、意味プーな本だと思ってください。
ちなみにわたしは、「北欧神話を少し詳しく知りたい!図鑑じゃ物足りない物好き向けの本!」の「北欧神話物語」を読んでからこの本を読みました。この本に書いてあることが頭に入っていれば、エッダを読めますよ!
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エッダとサガ
ぶっちゃけこの本は、前半の「エッダ」の個所はどーでもいいです。他の本と同じですからね。内容が全部かぶってます。
この本のおすすめポイントは、他の本にはほとんど載っていない「サガ」が詳しく載っていることです!「サガ」とは日本人には分かりづらいのですが、いうなれば日本の「桃太郎」とか「浦島太郎」のような、神話とはちょっと違う地方で有名な民話、的な話でしょうか。でも日本とはまた違って、全部歌になってるんですね。
内容も日本の民話とは一味違いますよ。エッダは神々が主人公なので、人間はほとんど登場しないのですが、サガは人間が主人公です。死をも恐れないヴァイキングの生々しいセリフぞろめですよ。
「貴様、死をどう思う」
「いいことだと思う。おれの親父と同じ運命だから」
「それはどんなことだ」
「斬れ、親父は死んだのだ」
カッコいいですね~。これぞ戦士のセリフ!ヴァイキングってみんなこうだったのでしょうか?!(そんなはずないけど)
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北欧神話と伝説
「エッダとサガ」の説明は読んでもらえましたか?このちょうど一つ前なのですが。
この「エッダとサガ」は、いわば辞書です。せりふはほとんどなし。あらすじだけ書いてあります。この本で内容が分かって、「歌で読みたい!」と思ったらこの本をどうぞ!格調高いリズムに乗って、美文体で書いてありますよ~。でも、内容が頭に入ってなかったらキツイです!
わたしのおすすめのサガは「鍛冶ヴェールンド」。ヴァルキューレが出てきて、理不尽な拷問があって、とってもサディズムなエロいシーンがあります。
あと、神話だけを読んでいると分からない、民間の信仰、迷信なども詳しく書いてありますよ。妖精とか守護神とかに興味のある人は一読をおすすめします。
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北欧のロマン ゲルマン神話
あんまり親切な本じゃありませんね。最初っから最後まで全部気合を込めて読まなければ分からない本です。北欧神話の全部のストーリーが、物語としてぜ~んぶ繋げて語られているのです。「この話だけ読みたい」と思っても駄目です。どこに何の話が書いてあるのか、一度全部読まないと分からないです。目次がかなりテキトーで、超ザックリとしか区切ってないので。
とは言え、たまらない人にはたまらないんですよ……。フレイヤの人間の恋人の話とか、ゲームでおなじみ「魔剣レーヴァティン」の話とか、かなりコアな話が目白押しなんです。
「神話はもう大体読んじゃった!あまり知られていないマニアな話が読みたい!」という人におすすめです!
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ゲルマン神話
この本は上下巻ありまして、上巻は「神々のお話」下巻は「英雄たちのお話」です。
青土社の神話シリーズは、はっきり言って「読みにく~っ。どこの教授が読むんだよ」ってのが多いのですが、この本に限って読みやすいですよ!全部物語調で書いてあって、「専門書」の堅苦しさは全然ないです。
おすすめは英雄物語で一番人気、「ニーベルンゲンの歌」です。入り組みすぎて分かりにくい「ニーベルンゲンの歌」のストーリーが、小説のようにかみ砕いて書いてあります!「エッダ」とかを読んでもちんぷんかんぷんだった「ニーベルンゲンの歌」ですが、わたしはこの本を読んで初めて理解しましたね。
全国の「オル窓」ファンの方!「ニーベルンゲンの歌」を知りたかったらぜひこの本をどうぞ!
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ユリイカ詩と批評 3 特集*北欧神話
これぞ!マニアの喜びの本!エッダを訳した谷村幸雄氏と、山室静氏の対話が載ってる……!お二方が北欧神話について熱く(軽く?)語ってらっしゃる!
オーディンをコテンパンに叩いてますよ、お二方!「(オーディンは)他人は欺く、自分の血筋に当たる人を槍で殺すとか、公平に勝敗を決めないとか、これはもうしょっちゅうのことですし」なんて言っちゃってますよ。「最後は狼にパクっで終わってるし」だって!
勉強になりますよ~。お二人とも軽口をたたいているんですけど、「あ~、そんな見方があるんだ~」ってことをサラッとおっしゃる。インテリって違いますね。
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挿絵画家アーサーラッカムの世界
19世紀に活躍した画家。セピア色の背景、極限に押さえた色使い。奇妙にうねった木々の間を、生き生きと飛び回る妖精たち。
実はこの人こそ、その後ウォルトディズニーに影響を与え、日本ではスタジオジブリの前身、トップクラフトがお手本とした、超偉大な画家なのです!この人の絵を見ると、「なんとなく懐かしいなあ」と感じるのですが、それも当然。全世界全ての人が、子どものころなじんだアニメは、全部アーサーラッカムをお手本としているのです。
そんなアーサーラッカム。この人の代表作が「ニーベルングの指輪」!
おそらく一番有名なのは「不思議の国のアリス」ですが、こちらは子供向け。「ニーベルングの指輪」は玄人向けって感じですね。
見ればわかりますが、「おお……!全精力を傾けた作品!」とすさまじいオーラを感じますよ。ワルキューレのカッコいい絵を求める人が、全員納得の挿絵!
この本には、「ニーベルングの指輪」のすべての挿絵が載っています。「不思議の国のアリス」「ピーターパン」「真夏の夜の夢」も載ってますよ。
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ニーベルンゲンの指輪 ワーグナーオペラシリーズ
ワーグナーのオペラ「ニーベルンゲンの指輪」の、全セリフが書いてある本です。このオペラはストーリーが実にうまく作ってあって、これだけでお話として楽しめますから、音楽好き問わずファンの多いオペラです。
この本のおすすめポイントは、アーサーラッカムの挿絵!実にいいですよ。本が大きいので、迫力が違います。
わたしのおすすめとしては、漫画で「ニーベルングの指輪」を読む⇒この本を読む。の流れですね。
興味のある人はこちら!全四巻ですが、ちょっとアマゾンに四巻がなかったので四巻の画像がないです。
こんなのもおすすめだよ!
北欧神話を熱く語っているというわけではないけれど、北欧神話をベースにした隠れ名作!子どもも大人もぜひ読んでほしいですね
飛ぶ船
これは昔良きファンタジーですよ。おそらく、メアリーポピンズが好きな人は全員好きですね。
四人兄弟の長男ピーターは、ある日不思議な骨董屋で小さな船を買います。美しい黄金の船。実はそれは魔法の船で、一種のタイムマシン。どの時代、どんな場所にも旅することができるのです。四人兄弟はその船に乗って、あらゆる時代へと冒険の旅に出るのでした。
でも子供たちは大人になるにつれ、だんだん魔法を忘れるように。ただ一人、魔法を忘れなかったピーターは、ある夜、船を店に返しに行きます。店の主人はにっこり笑って代金を返しますが、ピーターは「このお金は特別なお金。もうこれで他の何も買っちゃいけないんだ」と叫んで、海へ放り投げるのでした……。
マニアは分かったかもしれない!そうです、この船は北欧神話のフレイの船、スキードブラトニールなのです。子どもたちは船に乗って神々の国アースガルドへ行き、この船がフレイのものであったことを知ります。そして、いつかこの船を神々に返す約束をするのです。この本に出てくるオーディンはまことに堂々としていて、「この船を返す代わりに、お前たちの心からの望みをかなえてあげよう!」と約束するのです。
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